こんにちは。
Dusterはカリフォルニア州で1996年に結成されたロックバンドです。

ジャンルとしてはスペースロック/インディーロック/スロウコアというジャンルのタグ付けと共に紹介されることが多いようです。USインディー的なキャッチーや迫力を魅せるのも魅力です。
2022年4月現在、Dusterは4作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを紹介します。
目次
Dusterのアルバム一覧
これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的なイメージです。
ご容赦ください。
(1st)Stratosphere
スロウコアとして扱われる音楽の中では、ややロック的な作品です。
PinbackなどのUSインディー勢のシンプルな叙情性・ルイヴィル勢ポストロックに通じる粗さや鋭さ・Weezerなどのパワーポップにも通じるキャッチーさを見せつつも、ぼそぼそとしたアンニュイさを深く帯びている作品です。
比較的しっかりとした輪郭を持ちつつも、物憂い雰囲気を感じさせるのが特長でしょう。
囁くような男性ボーカル、ダークなメランコリーを紡ぐエレクトリックギター、淡々としつつも時折激しさを見せるリズムセクション。静謐さを基調としていますが、(とりわけ後半部)ギターとパワフルなドラムさを見せる瞬間もあり、その存在感は中々です。
スロウコアに興味がある方には、入りやすい作品かもしれません。かっこいいです。
(2nd)Contemporary Movement
前作よりも輪郭はハッキリさせつつも、物憂い繊細な一面が強まっている作品です。
物憂くも粗いアンダーグラウンドな質感と深く影を帯びた叙情性が混ざり合い、アンニュイな緊張感を帯びたバンドサウンドが、ヒリヒリとした熱量と手負いの獣めいた気迫を帯びながら続いています。
陰鬱でそっけない男性ボーカル、冷たい叙情性を描くエレクトリックギター、硬質なリズムセクション。サウンドはシンプルながらも太さがあり、陰鬱でメランコリック。時にパワフル/ノイジーな展開を見せつつも常に知性や文学性を放っています。
気だるい雰囲気を帯びてはいるもののズブズブと沈んでいくような脆さはなく、ゆったりとしつつも芯の強さを感じさせるあたりがDusterの真骨頂かもしれません。
前作よりもこなれており、いわゆるスロウコアに近づいている作品でもあります。ただ、インディーロック的な匂いが強いのも印象的です。
(3rd)Duster
アンニュイで重たい雰囲気をまといながらも、1stの頃から匂わせていたナードなポップ感を今までより若干強めに滲ませている作品です。
影を帯びた物憂い雰囲気はそのままによりポップな質感をしばしば前面に出すようになり、良い意味での粗さ/アンダーグラウンド感を残しつつ、ややキャッチーな雰囲気になっています。
囁くようにメロディを歌う男性ボーカル、ノイジーで太さを感じさせるエレクトリックギター、堅実な骨組みとなって全体を支えるリズムセクション。ゆったりとしつつ、素朴なニュアンスを感じさせつつ、粗いダークさや静謐さを上手に魅せつつ。ただ、柔和な優しさが全体を覆っているのは間違いないでしょう。
ソフトで、純粋。ポップなのに陰鬱。力強くはありますが、穏やかさを感じる場面も少なくありません。
ダークながらも柔らかな雰囲気のアルバムと言えるでしょう。
(4th)Together
ある意味、Dusterで最もスロウコアらしい作品と個人的には思います。
陰鬱な空気感、物憂いサウンド、淡々とした曲調。Dusterらしいラフさと叙情性を残しつつ、うつむきがちな雰囲気のほの暗い展開が目立っています。
ぼそぼそと囁く男性ボーカル、影を帯びたフレーズを紡ぐエレクトリックギター、ソフトに全体を支えるリズムセクション。どことなく浮遊感を帯びつつも地の底を這うようなダークさもあり、控えめな抑揚からは文学的なニュアンスが漂っています。
従前の作品のようなアンダーグラウンドな質感/ポップな雰囲気を残しながらもそれらを上手に昇華したような印象を受けます。洗練されているというか、完成度が高まっているとも言い換えられるかもしれません。
変わらぬ芯の強さを残しつつ、物憂さを上手にロックへ変換したアルバムです。
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