Do Make Say Thinkのアルバムについて。繊細な感性と瑞々しい躍動感

こんにちは。

Do Make Say Thinkは1995年にカナダで結成されたインストゥルメンタル・ロックバンドです。

The Quietus | News | Do Make Say Think: London Show
https://thequietus.com/articles/10344-do-make-say-think-live-london-goodbye-enemy-airship

ジャンルとしてはポストロックにカテゴライズされることが多いようです。
感受性のままに跳ね回る、瑞々しさと繊細さにあふれた躍動感を魅力としています。

また、主要メンバーが同郷のBroken Social Sceneに在籍していることも特筆すべきかもしれません。

2021年12月現在、Do Make Say Thinkは7作のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。

※個人的には3rd以降から聴いてみることをオススメします。

Do Make Say Thinkのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを紹介していきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成してみました。



では、本題に入りましょう。

(1st)Do Make Say Think

エモーショナルな躍動感が印象的な後の作品に比べると、音のテクスチャーを淡々と聴かせる作風が際立っています。

マニアックでストイック、静謐で実験的。穏やかにうねるグルーヴの下、シンプルなバンドサウンドが煙たく湿った響きを奏でています。

ゆったりとしたギターアルペジオ、環境音にようなシンセ・エフェクト音、ジャズの匂いを運ぶ管楽器。それらが優しいグルーヴと絡まり合って素朴ながら奥深く、仄かにサイケデリックな音響世界を醸成しています。

平坦なサウンドが、独自の味わいを含んでいると言えるでしょう。
後の作品に繋がるような感受性の強さも感じさせますが、本作において主役はあくまでも素朴な音の響きです。

才能豊かだけれど粗削りの若い画家が、誰に評価されるためでもなくただ楽しむために描き殴った作品のような、好きな人にはたまらないであろうバランス感覚を楽しめるアルバムです。

(2nd)Goodbye Enemy Airship the Landlord Is Dead

全体としては前作と同じような淡々とした雰囲気の作品ですが、後の作品に通じる躍動性/展開の起伏も感じられます。

瑞々しさと渋みのある叙情性を奏でるエレクトックギターのストローク、熱い衝動を演出する管楽器、堅実な安定感とうねりを見せるベース、時にフリージャズ的な前衛性・爆発を見せるドラムス。

フリージャズからの影響を滲ませつつ、シカゴ音響派的なマニアック/ハンドメイドな響きのニュアンスを強く帯びています。
そして、同郷のBroken Social Sceneにも通じる自由奔放なインディーロック的ニュアンスも。

素朴さ・平坦さ・瑞々しい感受性を基調としつつ幅広いニュアンスを織り込んだサウンドは、場面場面に応じて多彩な姿を見せてくれます。

前作が原石だとすれば、本作は今まさに一皮むけようとするその刹那の瞬間を捉えた作品と言えるでしょう。

(3rd) & Yet & Yet

Do Make Say Thinkの個性が確立した作品であり、アンビエンスと躍動感が織りなす多彩な展開が魅力です。

繊細ながらも芳醇な響きのテクスチャーを、インディーロック的なエモーショナルさで奏でています。

瑞々しい感受性とダイナミックなうねりを弾き出すエレクトリックギター、壮大さ・迫力・前衛性を演出する管楽器、息遣いや呼吸を思わせる生き物めいたビートを生み出すベースとドラムス。

基本的には音の響きを聴かせるための静けさを基調としたサウンドになっています。ただ、時々に姿を見せる力強さとの緩急が絶妙の塩梅で展開しており、それがまさしく本作の妙味。奔放な感性のままに複雑な色合いのサウンドを響かせています。

ポストロック的な音響マニア感を漂わせつつ、同郷のBroken Social Sceneにも通じる繊細な迫力を見せる瞬間も多々あります。聴き手の感情を喚起する無垢でまっさらなエネルギーが、ゆったりと揺蕩っています。

前衛性と叙情性を兼ね備えた、シンプルながらも奥行きの深いアルバムです。

(4th)Winter Hymn Country Hymn Secret Hymn

Do Make Say Thinkの代表作と捉えている方も多いのではないでしょうか。

音のテクスチャーへの繊細なこだわりはそのままに、インディーロック的躍動感/叙情性が増している作品です。


アート性は維持しつつも、しなやかなビート感を強く帯びているため聴きやすくなっているのが特長です。
瑞々しい感受性の赴くままに変幻自在に姿を変えていく曲調からは、エモーショナルさと前衛性がポップなテイストでブレンドされているのを感じます。


豊潤さと抜けの良さを兼ね備えたエレクトリックギター、儚い叙情性を添える管楽器・シンセ/エレクトロニクス、しなやかで流れるようなビートを生み出すベースとドラムス。その全てが溶け合うように混然一体となって、ナイーブながらも力強いサウンドを紡いでいます。

時に息を潜ませるように、時にダイナミックに。
繊細な遅筆で大胆に描かれた絵画を思わせる表現力で、単純な「静」「動」では割り切れない多彩なグラーデションを変幻自在に生み出しています。

ポストロックというカテゴリーが生み出した一つの完成形とも言える、独創的なオリジナリティと高いクオリティがみなぎっているアルバムです。

(5th)You You’re A History In Rust

前作の瑞々しさを維持しつつ、よりキャッチーな躍動感に接近している作品です。

息を潜めて聴き入りたくなるような繊細なテクスチャーへのこだわりは変わらないものの、アンビエント的というよりもインディーロック的でしなやかなビートが感じられる時間が増加しています。

もちろんDo Make Say Think らしい天衣無縫な起伏はそのままで、生を謳歌するような力強さがほとばしるアーティスティックな空気感は魅力的です。

端麗な響きと飾り気のない叙情性を兼ね備えたエレクトリックギター、幅広い表情やダイナミクスを生み出す管楽器、繊細な質感と複雑なバランス感覚を織りなすベースとドラムス。シンプルな楽器構成と表現方法で奥深い色彩を描き出すエモーショナルなバンドサウンドは、まさしくDo Make Say Thinkの真骨頂と言えるでしょう。

今までにないほどの直線的なインディーロックスタイルに接近しながらポジティブな感情を爆発させる瞬間もあり、聴きやすさという意味でも優れています。

名作 Winter Hymn Country Hymn Secret Hymnで作り上げた方法論を、より多くの人に届くように磨き上げたアルバムです。

(6th)Other Truths

4th以降の流れから、さらにインディーロック的な方向へと踏み込んだ作品です。

奔放な展開や音響的なナイーブさを残しつつも、よりキャッチーで聴きやすい楽曲展開になっています。

ダイナミックでエモーショナル。大胆で緻密。シンプルで、奥深い。
管楽器の迫力が力強さを増しつつもフリージャズ的な匂いを感じる瞬間は少なく、ストレートに感情を爆発させているのが特筆すべき特徴でしょう。

力強く感情を鳴らすエレクトリックギター、熱い魂を感じさせる厚めのホーン隊、繊細なニュアンスを帯びつつも力強い躍動感を紡ぐベースとドラムス。時折帯びる実験的なニュアンスや巧みで表現豊かな緩急を織り込みつつも、基本的には聴き手を惹きこむような力強さに軸足が置かれています。

繊細な透明感を根底に置きつつも厚みや熱さが感じられる壮大なサウンドが、過去作とはやや毛色の違う真っすぐな迫力を作り出しています。

血潮たぎるような力強さと深みのある叙情性が互いに高め合うように溶け合っている、魅力的なアルバムです。

(7th)Stubborn Persistent Illusions

前作のキャッチーな力強さを土台としつつ、それ以前の作品の凛とした雰囲気も漂わせている作品です。

繊細な感受性と大胆な起伏・展開を軸足にして、豊かな表現力で多彩なサウンドを次から次へと描き出しています。バンドとして積み重ねてきた経験が活きているのか、研ぎ澄まされたような緻密さや奥深さが感じられます。

透明感とエモーショナルさを兼ね備えたエレクトリックギター、澄んだ響きのピアノ・シンセ・エレクトロニクス、微妙な表現を作り出す躍動感あふれるベースとドラムス。ナイーブな音響のテクスチャーをインディーロック的感性で大胆不敵に配置しながら、瑞々しくてポジティブなシンフォニーを奏でています。

シンプルなバンドアレンジから生み出される豊潤で奥深い叙情性が、インディーロック的な真っすぐさと相乗効果を起こしながら、瑞々しい感情をヴィヴィッドに聴き手へ届ける力強い音楽を生み出していると言えるでしょう。

間違いなく円熟はしているのですが透明感や鮮やかさも強まっており、鮮烈な色彩を炸裂させる展開には思わず「さすがだな」と瞠目せざるを得ません。

Do Make Say Thinkというバンドの先行きを見届けたくなるようなアルバムです。

主要参考サイト

https://en.wikipedia.org/wiki/Do_Make_Say_Think

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