Dirty Three / Toward The Low Sun 場末の酒場にて、決して寄り添わないギター、バイオリン、ドラムス。



こんにちは。

Dirty Threeはメルボルン出身の3人組ポストロックバンドです。

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特徴としては、ギター、バイオリン、ドラムスという特異な編成でしょう。
酸いも甘いも噛みしめたいぶし銀のジャズやブルース的な、サウンドを奏でるポストロックバンドです。


本作Toward The Low Sunは彼等が2012年にリリースしたアルバムです。

Dirty Threeの影の傑作。Toward The Low Sunの魅力 バランスが崩れる寸前の熱量を秘めたアンビエント感

Dirty Threeの代表作と言えば……

Dirty Threeと言えばOcean SongsやHorse Storiesのような初期作品が代表作とみなされているように思います。

確かに初期の作品は強烈に個性的で魅力的です。
場末の酒場を想像させるジャズ/ブルース的な雰囲気、
涙を誘う哀愁の旋律、
そして爆発する初期衝動。
といった要素を兼ね備えており、ロック的な音楽として極めて高い完成度を誇ります。

Toward The Low Sunの情熱的な抑制美

ただし、個人的には本作Toward The Low Sunのほうが好きだったりします。
なぜか。いわゆる代表作とは異なる魅力があるからです。

本作Toward The Low Sun は爆発しそうな初期衝動を水面下にぐっと抑え込み、静謐な抑制美を描き出しているからです。

ブルージィなギターとバイオリンは、零れ落ちる砂金のように瞬間瞬間にきらめきを放つ音色を奏で、
ドラムスはビートというよりも呟きや咆哮のような打音をただき出しています。

音数も少なく、分かりやすい初期衝動の爆発やメロディアスさもありません。
ポスト・クラシカルやエレクトロニカ的感性に近く、繊細な音色の一つ一つその響きをフェチズム的に楽しむ様子もあります。

ただ、そんな繊細な美のその奥底に眠っている初期衝動がとにかく熱いのです。

初期と比しても遜色ないエネルギー量を初期よりも控えめなボリュームの中に充満させているのかのようです。

孤独なギター、バイオリン、ドラムス

本作の一番面白いところは各パートが有機的に絡み合っていないことです。

ひょっとしたら本作を制作していたときメンバーがそれぞれニューヨーク、パリ、メルボルンと別々の大陸で暮らしていたことも関係しているかもしれません。

場末の酒場で三人の男達が慣れ合ったりせず、素気無く、自分自身とだけ向き合っているような。
そんな粗野で孤独な音色が決して交わらずに存在しています。


別々の物語が一同に展開している感じ」というギタリストのミックの言葉が非常に印象的です。

曲に込められた哀しみ

本作Toward The Low Sunはインストゥルメンタルです。
歌詞を通してその世界を具体的に探ることはできません。

ただ、曲のタイトルにはSometimes I Forget You’ve GoneやYou Greet Her Ghostなどの大切な人との別離とそこから受けた傷を示すものがあります。

ともすれば「うらぶれた」とも表現できるような惨めさを知っている男の色気はDirty Threeが持つ最大の魅力です。
本作におけるその魅力の根源を成している何かを、タイトルから伺い知ることができるかもしれません。

たった一人で心の傷と向き合っているような、そんな精神世界なのでしょう。

まとめ Toward The Low Sunの魅力 Dirty Threeというの危うい絶唱

いかげでしたか。

本作リリーズ時のインタビューにおいてミックは「聴き手が自分の魂に触れること実現させたいと思っている」と述べています。

本作Toward The Low Sunを聴けば、創り手の精神世界に踏み込みながら自分自身の奥底にある何かを見つめることができるかもしれません。

哀しくも荒々しい男達の絶唱に、耳を澄ましてみてはいかかでしょうか。


それでは。

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