Deaf Centerのアルバムについて。優美さな緊張感と色香漂うノスタルジー。

こんにちは。

Deaf Centerはノルウェー出身のErik K SkodvinとOtto A Totlandによって2003年に結成されたデュオです。

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ジャンルとしてはポスト・クラシカルやアンビエントと呼ばれるものに該当するでしょう。

ピアノやストリングスといったクラシカルな楽器とエレクトロニクスやフィールドレコーディングを巧みに混ぜ合わせ、鬱蒼としながらも荘厳なサウンドスケープを描き出しているのが彼等の特徴です。

繊細な音の粒を聴き手の鼓膜に染みこませるような、ひそやかな曲調に思わず引き込まれます。

Deaf Centerは2021年1月現在、3枚のフルアルバムをリリースしています。
本作ではその全てを語ります。

Deaf Centerのアルバムについて。

これから各アルバムについて見ていきますが文字だけでは分かりにくいと思い、相関図を創ってみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Pale Ravine

重々しくシネマティックでありながら、ノスタルジックな雰囲気が漂わせている作品です。

少ない音数で、繊細で濃密なサウンドスケープを構築しています。

本作Pale Ravineはメンバー2人のファミリーヒストリーをテーマとしているとのこと。
ボロボロのレコード、壊れたピアノ、様々なフィールドレコーディング・サンプリングなどがあちこちに散りばめられています。

埃に塗れた木箱から拾い上げた叙事詩の頁を繰るかのように、静謐な音色が語りかけてきます。

そっと紡がれる陰鬱ながらも透明感に満ちたピアノ、
張りつめた気品を奏でるストリングス、
荘厳さを描くエレクトロニクス・フィールドレコーディング・サンプリング、
古色蒼然とした優雅さや緊張感を湛えながらも、肉感的な優美さを感じさせるのは本作がファミリーヒストリーをテーマにしているからなのかもしれません。

エモーショナルな響きが静寂のなかで揺らいでは溶けていき、凛とした緊張感が絶えず漂っています。

<過去への眼差し>としてのノスタルジーは本作にも色濃く漂っています。
ただし、甘ったるい逃避や幻想はなく、クラシカルな静けさの中には苦み走った力強さが鮮烈に存在しています。

毅然とした眼差しで過去を見据えるような、精悍さを感じるアルバムと言えるでしょう。

(2nd)Owl Splinters

前作に比べて音の解像度が上がり、響きの透徹さが感じられるのが本作Owl Splintersです。

サンプリング・フィールドレコーディングの存在感が引っ込み、ピアノやチェコといった楽器が織りなす旋律が深々と冴え渡るようになっています。

アルバム全体を覆う高貴な静謐さの内側には不穏な緊張感が揺蕩っている一方、時にはメランコリックな空気感が垣間見えることもあったり。
個人的・心象世界的な繊細さが、静謐さの中で力強く渦を巻いています。

優美に響いては溶けていくピアノ、
重々しく紡がれるストリングスの音色、
茫洋と揺れ動くエレクトロニクス・ドローン、
寂静として物憂いサウンドスケープの中で、必要最低限の音数によってナイーブな物語が紡がれています。

ゆったりと上下する旋律からはストイックな美意識が見え隠れし、冷たく澄んだノスタルジーを感じさせてくれます。
前作同様に甘ったるい質感はなく、苦み走った優雅さが全編で燻っています。

クラシカルな気品とエレクトロニカ的な繊細さが溶け合った、箱庭的なアルバムと言えるでしょう。

(3rd)Low Distance

本作Low Distanceはdeaf Center諸作のなかで最も静謐なアルバムです。
緊張感よりも優美さに重点が置かれるようになり、美しくも物憂い叙情性をそっと響かせています。


メランコリックで繊細な響きが連なり、混ざり合い、降り積もり、心象風景的な文学性を築き上げています。。

触れたら壊れてしまいそうな旋律を奏でるピアノ、
囁くようにソフトなノイズ・エレクトロニクス、
ミニマルなサウンドスケープが少しずつ形を変えながら、アルバムは展開していきます。

時に悲しげに、時に優しげに。
幽玄な音響が紡がれ、優しく幾重にも折り重ねられ、ひんやりとしつつもノスタルジックな質感が丁寧に構築されています。


もちろん過去作と同様に甘さは控えめで、冷冽な透明感が静謐の中で美しく光っています。

Deaf Centerの魅力である物憂い音響世界のなかでもとりわけ蠱惑的な要素を凝縮したような、本作は慎ましくも美しいアルバムです。

それはあたかも静謐と暗闇の奥に佇む色香のような、
控えめながらもはっとするような存在感を放っているような、
触れた者の心のなかでいつのまにかとぐろを巻いているような、

そんな密やかで艶やかな音色が詰まっています。

Deaf Centerのアルバムについて:主要参考サイト

https://deafcenter.bandcamp.com/

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