Carissa’s Wierdというバンドについて。  湖畔の城のようにひそやかで、嵐のように荒れ狂う。~隠れたおすすめスロウコアバンド~ 


こんにちは。



Carissa’s Wierdはシアトル出身、四人組のロックバンドです。

https://www.bandsintown.com/a/19852-carissa%27s-wierdyより

物憂げで淡々とした曲調のインディーロック、いわゆるSlow Core/Sad Core的なサウンドが特徴です。

Red House Painters、Codeine、Lowといった代表格とは違うのはオリジナリティあふれる圧倒的な才覚ではなく、全ての曲に吹き込まれた繊細な瑞々しさそのものが印象的ということでしょうか。

そんなCarissa’s Wierd、現在まで3枚のフルアルバムをリリースしています。
今回は彼等のアルバムを全て語ります。


ただ、文字だけでは分かりにくいと思うので、アルバムを相関図にしてみました。

いかがでしょうか。
それでは各アルバムを見ていきます。

Carissa’s Wierdというバンドについて アメリカーナを繊細に スロウコアの隠れ名盤の数々

【1st】Ugly But Honest

1999年にリリースされた彼等のデビュー作です。
彼等の1996年から1999年にかけてレコーディングされた楽曲がコンパイルされています。

後の作品に比べると粗削りであるがゆえの魅力が強いですね。
後の作品よりもアメリカーナの色が強かったり、アコースティックな楽曲が大語り。
そして、曲から強烈に匂い立つ青々しいナイーブさが特徴も強烈です。

それと同時にCarissa’s Wierdらしさは既に健在です。
Mat BrookeとJenn Ghettoという才能豊かな二人が降りなす男女混成ボーカル的ハーモニー、
俯きがちな叙情性を漂わせるギターアルペジオ、
清らかながらも蠱惑的な魅力を含むストリングスの調べ、
目まぐるしく変わる情緒を宿すアコースティックギターのストローク、
シンプルながらもしなやかな存在感を放つドラムス。
それらが一つに溶けあって、薄氷を踏むようにひそやかで、緊張感があって、繊細な音像を創り上げています。

本作の特色はSlow Core/Sad Core的な繊細です。
ただ、その繊細さはあまりにも強烈で、アンダーグラウンドミュージック的な殺伐さが渦巻いています。

【2nd】You Should Be at Home Here

2001年リリースの2ndアルバム。
個人的には彼等の中でも最も好きなアルバムです。

前作よりも完成度は上がっており、剥き出しの神経を見せつけられるようなナイーブさもだいぶ収まっています。
しかし、決して丸くなっているわけではないのが本作の面白いところ。
淡々とした不穏な苛立ちが凄まじく強まっているのです。


Matによる落ち着いた男声とJennによる感情を軋ませる女声が降りなすツインボーカル、
湖畔で戯れる妖精のような瑞々しさを思わせるピアノ、
風に舞う木の葉のように解放感と安らかさを含むバイオリン、
木漏れ日の揺曳を思わせる儚いギターアルペジオ
ダイナミックな感情の大きな動きを表わすアコースティックギターのストローク、
そして、いつもは寄り添うように控えめに叩かれるリズム・セクションも、ボーカルの感情が情動的に爆発するときは連動してうねりながら強まります。
ただひたすらに静謐な美しさを奏でているときもあれば、強烈に不安定な感情を吹き出す瞬間もあります。

本作の基盤は文学的なロマンに満ちた華奢な叙情性です。
しかし、時折強烈に不穏な展開を迎えることもあります。

それはまるで一枚の絵画のように。
美しい穏やかな湖畔の古城が曇天に覆われ、豪雨が降り注ぎ、雷鳴が轟くように。

不安定であるが故の美しさというCarissa’s Wierdの側面が最も出ている一枚です。

【3rd】Songs About Leaving

今のところ、Carrisa’s Wierdのラストアルバムです。2002年リリース。

英語圏ではSlow Core/Sad Coreの隠れた名盤に挙げられているのを見かけます。
ただ、それも十分に納得できる素晴らしいアルバムです。

一言でいうなら、静謐さはそのままにエモさが増大しています。
滴り落ちるほどのメランコリーを含んだサウンドスケープには、衝動的で瑞々しいエモーショナルさがたぎっています。


時に静かに時に叩きつけるように降り注ぐMatとJennの切なげなボーカル、
そっと紡がれる音色に冷冽な激情を潜ませるエレクトリックギター、
朴訥とした音色からじわりじわりと切なさが滲みだすアコースティックギター、
ピアノのたおやかな音色が紡ぐ幻想感は若々しくも儚く、
空を舞うバイオリンの音色は遠ざかっていく大切な何かの後ろ姿を思わせるほどに胸を打ちます。
そして、リズムセクションがそんなウワモノ達をそっと抱き寄せるようにまとめ上げています。

Slow Core/Sad Coreとしては展開のメリハリは強いです。
しかしながら一音一音にキラキラとしたセンチメンタルをそっと詰め込んだ様な丁寧なエモーショナルさも兼ね備えています。


Slow Core/Sad Coreの魅力がエモい物憂げだとするのであれば、本作はその魅力の根源的な姿を最も現している作品です。

結び Carissa’s Wierdというバンドのその後

Carissa’s Wierdの不安定さは彼等の個性であり魅力でもあります。
Slow Core/Sad Coreらしい曲展開のメリハリもそうですし、時に聴き手を不安定にさせるほどのボーカリストの苦悩を隠さぬ歌い方(特にJenn)も強烈です。


しかし、それをただ吐き出すのではなく、絵画のような完璧な美に仕上げているところが彼等の魅力の本質です。
そして、そんなバンドの常としてそう長くは活動を続けませんでした。

後のCarissa’s WierdのメンバーはBand of HorsesやSなどの才覚溢れるバンドとしても活動していきます。

しかし、煮え立つような繊細さは不安定さを最も感じ取れるのはCarissa’s Wierdではないでしょうか。

それでは。

2 件のコメント

  • カリッサズウィアード大好きなんです。最近毎晩夜聴いています。ジェンチャンピオンのインタビューを聞いたのですが「あまりにバンドイメージが悲しい、切ないと言われ耐えられなくなって辞めたの。」と言ってましたが彼女の声はこのバンドでこそいかされてると思います。ソロの音楽活動も良いのですが、私はカリッサズウィアードのジェンの声にめちゃくちゃ惹かれます。個人的にはUglybuthonestが好きです。なかなか日本語記事が見当たらないのでこちらのブログ記事は貴重でした。

    • コメントありがとうございます。

      ジェンがやめてしまったのは、そんな理由からなんですね。その後の彼女も素敵ですが、仰る通り、Carissa’s Wierdとしてのハーモニーの中にいるのも調和がとれていて素晴らしいと思います。

      Ugly But Honestも柔らかくてナイーブで、本当に良い作品ですよね。

      私もCarissa’s Wierdについてお話ができて楽しかったです。

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