Burnt Toast Vinyl Recordsについて。ポストロック・インディーロックのあんまり日の目を見てない良レーベル 

こんにちは。

Burnt Toast Vinylは1996年に設立されたインディーズレーベルです。
主に拠点を置いているUSフィラデルフィアとその周辺地域のアーティストの作品をリリースしています。

主にポストロックやインディーロックにカテゴライズされるような作品をリリースしています。
代表的なバンドとしてはSaxon ShoreYndi Haldaあたりでしょうか。
また、レーベル全体の傾向としては下記の点が挙げられます。

  • 美麗系・轟音系が多いが、垢抜け切れていない。
  • ほんのり漂うエモフレーバー
  • 良い意味で未完成。まばゆい粗さがある。
  • 働きながらバンドをしているのか、寡作だったり、すぐに活動停止したりする。

といったところでしょうか。

Burnt Toast Vinyl Recordsのまとめ ポストロックの一番繊細なところがぎっしり!

それでは、各バンドについてみてみましょう。

各々の特徴を分類するならこんな感じでしょうか。

では、ここからは文章で語ります。

Saxon Shore / Exquisite Death of Saxonshore

「Burnt Toast Vinylとは何ぞや?」と聞かれればSaxon Shoreのこの一枚をピックアップすることになるでしょう。

そのサウンドを一言で表現するならば、Mogwai発Explosions In The Sky経由の煌びやか系轟音ポストロックです。

繊細な響きを織り成すアルペジオから始まり、徐々にバーストしていくギターが間違いなく彼等の特徴です。
そこにアクセントとしてほんの数滴程度添えられるピアノやアーコディオンなどの楽器が、叙情性を劇的に高めています。

つまりは正しく轟音ポストロックなんです。
しかし、他の同系列バンドとの明確な違いがあります。
それは未完成であるがゆえの儚さが前面に出ていることでしょう

たしかに、Explosions in The Skyに比べればアレンジも牧歌的、リズムもシンプルと言えます。
しかし、圧倒的なきらびやかさがこのアルバムにはあります。
エモ的な荒々しい透明感と言い換えてもいいでしょう。


ゆっくりゆっくりと螺旋を描くように同じフレーズを繰り返しながら少しずつ盛り上がって辿り着く轟音の鮮やかさは何物にも代えられません。

瑞々しい感性を蒸留したような高純度の光彩そのものです。


余談ですがこのSaxon Shore、2001年から2004年にかけてFather John MistyことJon Tillmanが在籍していました。

Unwed Sailor / The Faithful Anchor

Burnt Toast Vinylの魅力マシマシな一枚がUnwed SailorのFaithful Anchorです。

インストの鮮やかなポストロックですね。
ただ、盛り上げるところでも轟音に頼らないのが特徴でしょう。
強いていうならTristeza+Ghost and Vodkaといったところでしょうか

こちらのほうがもっと直線的かつ純朴です。

ひたすらに瑞々しく、一切の無駄もなく、感性迸るような楽曲が連発されるのが非常に魅力的です。
美しい旋律を奏でるギター、花を添えるように控えめで美しいシンセ、虚飾なくタイトなリズム隊。
それら全てがシンプルに組み合わされ、オーガニックと言えるほどの自然な美しさを創り上げています。

過剰にアクセルを踏むような大疾走はありませんが、繊細な美しさを丁寧に編み上げた傑作です。


ちなみに、後のアルバムはアンビエントな作風に変わっていきますが、それはそれでまた素晴らしい出来です。

Foxhole / Well Kept Thing

緊張感や荒々しさの陰に、Burnt Toast Vinyl的な美麗さが漂うインスト・ポストロックです。

エモのようなエネルギッシュな透明感を出す楽曲もあれば、
管楽器なども巧みに使ってGY!BEの香り漂う白熱感を感じる曲もあり。
Shipping News的な不穏でアグレッシブな曲もあり。
さらには音響派的な複雑な響きへの探求心を感じる曲もあり。
それらの要素が混全一体となっている曲も多数あり。
とにかく多彩な手札を使って、攻撃的な戦略を使ってくるタイプですね。

ただ、いかなる時も根底にあるのは、力強くも切れ味鋭いリズム隊とアグレッシブでエモーショナルなギターサウンドでしょう。
そして、ほんの少し顔を出す美麗さと完成されていないがゆえの青臭さが、素晴らしい隠し味になっています。

巧みなんだけれど、若々しい。そんな一枚です。

Yndi Halda / Enjoy Eternal Bliss

Mogwai直系の『静』『動』を使いこなす轟音ポストロックバンドです。
しかし、クラシカルな雰囲気を感じさせる『静』の美しさと、感情の濁流を思わせる『動』の対比は神々しいという表現が当てはまるほどの壮麗さです。

ストリングスやピアノなどを用いることによって優美さを導入していることが強烈な個性となっています。
しかし、安直にポップに走るわけではなく、曲の構成は緻密かつ複雑です。
なにせ一曲十五分ほどの長さがあるのですから。
緩急を巧みに使い分け、聴き手を少しずつ引きずり込んでいくのは見事の一言です。

Godspeed You! Black EmperorのようなエネルギーとMonoのような叙情性を併せ持ち、なおかつ深い気品を感じさせる轟音ポストロックバンドです。

彼等はUSのみBurnt Toast Vinylからのリリースなのですが、そのせいかどうかは分かりませんが完成度は非常に高いです。
一級品の芸術と言えるでしょう。

Ester Drang / Goldenwest

HoodやJim Yoshii Pile UpなどUKフォークの延長線上にあるポストロックバンド(もっとざっくり言うとThe XX)にも通じる、陰のある雰囲気が特徴です。

メランコリックなピアノやシンセ。
時にアルペジオを奏で、時に効果音のように爪弾かれるディレイがかったギター。
物憂げにストロークされるアコースティックギター。
とぐろを巻くようなベースにタイトなドラムス。
美しくも陰のあるボーカル。

陰鬱さの中にも聡明さを感じさせますが、ごく稀にシューゲイザーのような激しさも見せます。


気だるい気品とハッとするほど生々しい陰。それが彼等の魅力でしょう。
むろん、色々と隙が見え隠れするところも素敵な個性です。


ちなみにEster Drangのその後ですが、Can’n JazzなどのキンセラファミリーやTexas Is The Reason、Fucked Upなどが所属していたJade Treeに移籍し、完成度の高いヒネクレ系エモポップへと少しずつ変わっていきます。

Denison Witmer / Of Joy & Sorrow

王道そのものともいえる繊細系シンガーソングライターです。
ネオ・フォークとも称されていたとのこと。

確かにまだ明るかったころのNick Drakeにも似た雰囲気は感じますが、所々現代風になっていますね。

そっとつま弾かれるアーコスティックギターと、優しい歌声がベースになっています。
素朴で切ない旋律に、寄り添うようにして他のパートが加わります。

フォークの飾り気のなさと2000年代前後のエモ的な瑞々しさが自然に混ざり合っているのが彼の特徴と言えるでしょう。

Williams Shift / We Were Wonderers

Saxon Shoreのメンバー2人による別プロジェクト。
分かりやすく言うと、Saxon Shoreをベースにしてインディーロック的エイトビートを強めて、男女ボーカルをケーキのイチゴのように載せた感じでしょうか。

ボーカルがなくてもポストロックの楽曲として成立するようなサウンドワークが印象的です。
きらびやかなサウンドはそのままですが疾走感や爽快感が前面に出ており、エモやシューゲイザーの影響を感じさせるギターサウンドも感じられます。
ギターの背後で響くシンセの浮遊感や壮大感も魅力的ですね。

もちろん、Saxon Shoreの未完成さと鮮やかさは健在です。

そして、そんな土台の上に乗っかっているのが男女混成のボーカルです。
素朴なコーラスワークをきかせることもあれば、インディーポップなメロディを歌うこともあり。かと思えば、野太く叫ぶこともあり。
決して洗練はされていませんが、あか抜けない味わい深さがあります。

Soporus / Windscale Pile No.1

こちらもSaxon Shoreのメンバーによる別プロジェクトです。
Williams Shiftがロックに寄せたのに対して、こちらはアンビエント・ドローン寄りですね。

ディレイやレバーブを深くかけたギターが楽曲の中心になっています。
長く余韻を残して消えていく美しいアルペジオやフィードバックノイズには、残響へのフェティズムを感じます。

ピッキングノイズが多く聞こえたりするような生々しい質感は、この手のジャンルでは珍しいのではないでしょうか。
また、脇を支えるシンセサイザーも適度な荘厳さです。

結果としてドローン特有の浮遊感は維持しているけど、変にSFがかったり神がかったりしていない、人間味がある等身大のドローン・アンビエントに仕上がっています。

結び Burnt Toast Vinyl Recordsの魅力は地域密着DIYバンド達だからこそ持ちうるクセの強さ

Burnt Toast Vinyl、なかなかクセのある魅力を持っているアーティストが揃っていますね。

全体的な特徴としては、やはり鮮やかさを持っていることだと思います。

未完成、純粋、青臭い、エネルギッシュ、きらびやか。
幾らでも言い換えることができますが、要するに非常に活き活きとしているんです。


あまり活き活きとすることがない現代社会を潜り抜けている身としては非常に眩しく見えますね……。

彼等の音楽を聴き終えた後には、何かエネルギーを現実社会に持ち帰りたいものです。

それでは。

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