Brokebackについて。ベーシストの音響的感性が花開く、優しく豊潤なグルーヴ。

こんにちは。

BrokebackはTortoise等のベーシスト/ギタリストを務めるDouglas McCombsを中心としたプロジェクトです。

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シカゴ音響派の人脈で構成されているだけのことはあり、どことなく歪ながらも柔らかく聡明な雰囲気が強く漂っています。

Brokebackは2021年4月現在、4枚のフルアルバムをリリースしています。
(今回はミニアルバムはカウントしていません)
本記事ではその全てを語ります。

Brokebackのアルバムについて

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Field Recordings from the Cook County Water Table

ウッドベースが心地よいな波動を描くようにぶつかり合うAfter the Internationalsから本作は幕を開けます。

中心になるのは、Douglas McCombsによる6弦ベースです。
幅広い音域をカバーしながら実に多彩な表情を描き出し、雨に濡れる情景のようなゆったりとしつつも馥郁としたサウンドスケープを形成しています。

匂い立つような柔らかさ、という表現が的確かもしれません。

ビートもほとんど存在せず、ベースの優しいうねりだけで素朴でゆったりとしたグルーヴ感を生み出しています。

そして、6弦ベースだけでは足りない部分にホルン、パーカッション、ボーカルが入り、ささやかな彩りを添えていきます。

フィールドレコーディングなどに起因する実験性やTorotiseのような不可思議な音響性も本作には存在しています。
ただし、本作のほうが人間味があって、穏やかで、パーソナルな印象を受けます。

それも優しくて、少し不器用で、はにかみ屋で、とっても純粋な。

(2nd)Looks at the Bird

前作で全面に出ていた素朴さがやや後ろに引き、ポストロックエレクトロニカを想起させるような先鋭的で不可思議な揺らぎがゆったりと響いている作品です。

本作も6弦ベースの豊潤な音色を中心がとなっていますが、グリッチやソフトなビートなどの存在感も強まっており、洗練された静謐なサウンドスケープを構築しています。

今までにないような艶っぽさを湛えているのも特筆すべき点です。ヴィブラフォン、ホルン、ハープの音色は不器用ながらが優美にたなびき、実験的ながらも澄んだ音色を添えています。

しかし、本作で最も特筆すべきなのはやはり6弦ベースの在り方でしょう。ゆったりとしたグルーヴを生み出すだけでなく、メロディを紡ぎ、さらには和音となって楽曲にふくよかな肉感を与えています。

人間味のある優しい色彩だけでなく知性的なニュアンスも感じられる、様々な味わいがふわりと混ざり合っているようなアルバムです。

(3rd)Brokeback and the Black Rock

大人びたロックという側面が強調されており、優しさと渋さを漂わせているバンドサウンドが印象的になっています。

過去作はベースを主軸にしつつ必要に応じてその他の楽器を取り入れるような感じでしたが、本作はバンド的なダイナミズムが楽曲の根底にあります。


Tortoiseにも通じる優美ながらもゆったりとしたビート感のうえでは、今までにないほどエレクトリックギターのブルージィなフレースが爪弾かれています。

土臭くざらついたエレクトリックギター、
シンプルながらもエッジの効いたグルーヴで楽曲の基盤となるベースライン、
ゆったりと落ち着いたリズムを紡ぐドラムス。

ポストロック的でいびつなインテリジェンスがブルージィ(時にドゥームメタルのような)で哀愁の漂う旋律によって生み出されており、相反する風味が混ざり合って奥行きの深い香りを生み出しています。

大きな起伏はなく淡々と楽曲は続いていきますが、潮の満ち引きのようなグルーヴが表情豊かなので退屈さはありません。
むしろ心地よい波に揺られているような優しさを感じます。


そっと伸びやかに広がっていく、ポストロックの凪のようなアルバムです。

(4th)Illinois River Valley Blues

前作のバンド路線をさらに推し進め、ミディアムで平坦な質感を残しつつもエモーショナルなダイナミズムも取り入れています。

ロック的なグルーヴが過去作よりもしっかりと表れています。

土っぽくていぶし銀なニュアンスは残しながらもToeを想起させるような激しさの片鱗を見せる一瞬があり、前作よりもやや凛とした印象さえ受けます。

スロウなテンポ感は変わらず備えています。ただし、表現方法の手数が豊富になっていることも相まって洗練されたように感じる場面があります。

メロディアスでキャッチーになっているのも見逃せません。
また、抑え気味とは言えエネルギッシュな蠢動を感じさせる瞬間も多いのも特徴でしょう。

ちりばめられるようなエレクトリックギターの音色が澄んだ空間を作り上げる局面も多く、大人びた落ち着きを備えたまま、インディーロック的な雰囲気を演出しています。

ポジティブな空気が漂う、なんだか楽しそうなアルバムです。

Brokebackについて:主要参考サイト

http://www.thrilljockey.com/artists/brokeback

https://www.allmusic.com/artist/brokeback-mn0000937222/credits

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