Below the Seaのアルバムについて。情景的な透明感と人間的な叙情性

こんにちは。

Below the Seaはカナダのモントリオールで1999年に結成されたインストゥルメンタル・ロックバンドです。

https://f4.bcbits.com/img/0008555075_10.jpg

ジャンルとしては、ポストロックになるのでしょう。
シューゲイザーやアンビエントの影響を受けつつも虚飾を排したテクスチャーが特徴的で、人間的なエモーショナルさとサウンドスケープ的な情景性を兼ね備えた物憂いノスタルジーを奏でています。


2021年8月現在、Below the Seaは3作のフルアルバムをリリースしています。
本記事ではその全てを紹介しています。

Below the Seaのアルバム一覧

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。

(1st)The Loss of Our Winter

Below the Seaのアルバムの中でも、最も蒼く荒涼とした空気感を放っています。

物憂く沈み込むようなエレクトリックギターを中心にして、モノトーンの情景を描き出されています。
アンビエント調のパートが多いのも特徴でしょう。


静謐で、もの悲しく、自然体。
ゆったりと、知性的で、凛として。
メランコリックながらも内省的で、伸びやかだけど影があって。
アンビエントとポストロックの汽水域が秘めた魅力を、真っすぐに澄んだ音響を通して表現しています。

エレクトリックギターのアルペジオ/バイオリン奏法が織りなすノスタルジックな風景、
ささやかに揺れ動く人間味のあるベース、
良い意味で存在感が控えめで、背景音的なニュアンスを含む優しげなドラムス。
時折差し込まれるボイスなどのサンプリングなども相まって、シンプルながらも繊細な空気感を生み出しています。

シューゲイザーの影響を感じさせるのは事実ですが、音壁/音圧による過剰な幻想性は存在しません
ディレイを効果的に活用することによって、寂しげでなだらかな音響感を紡いでいます。

物憂いながらも瀟洒な雰囲気を帯びているのは、本作の重要な特徴かもしれません。

時折感情の高まりを感じさせるように盛り上がることもあり、アルバム単位としての完成度にも丹念に目配りをしているように感じます。

ヨーロッパの列車に乗って雪交じりの車窓を眺めているような、時折文庫本や珈琲に手を伸ばすような、そんな感覚にさせてくれるアルバムと言えるでしょう。

(2nd)Les Arbres Depayseront Davantage

前作よりも冷硬な雰囲気は弱まっていますが、ダークな感じはするようになっています。

また、ピアノの導入などサウンドのバリエーションが豊かになっているのも大きな変化でしょう。

シューゲイザーの影響も変わらず感じさせます。
しかし、耽美文学的な空気感にやや寄っている印象も受けます。

エレクトリックギターが軸になっていることは変わりません。
ただ、エレクトリックギターが際立つというよりも他の楽器とも一体感が醸成され、有機的なしなやかさを感じさせるようになっているのが大きな魅力と言えるでしょう。


シンプルな構成は変わりません、
ただ、気だるく淡々とした響きはそのままに、前作よりも若干緩急がついている印象を受けます。
(特に後半がゆったりしています)

アンビエント的なパートがしっかり残っている一方で、ポストロック的な質感へ近づいているパートもあります。
それからシューゲイザー的な揺らぎ/木霊は本作でも多用されていますが、如何なる時でも楽曲の骨格自体はしっかりとしている印象を受けます。


静謐な憂いに満ちたエレクトリックギター、
囁くように揺れ動くように紡がれるベース、
ダウナーでしなやかなドラムス、
淡々とメランコリックな響きを創り出していることもあれば、じわじわと苛立ちを醸成していくこともあります。

もの悲しく、文学的で、透明感があって。
しかし、明確な起承転結があるわけではありません。
だけど、物憂い情緒に富んだその移ろいには、胸に迫るノスタルジーを深く感じます。


古ぼけたフィルムに移る誰かの人生の断片を見ているような、そんな気持ちにさせてくれるアルバムです。

(3rd)Blame It on the Past

ノスタルジックで情景的な印象が強かった過去2作に比べ、いぶし銀でパーソナルな匂いを漂わせています。

シューゲイザーというよりもシンプルなポストロックに接近しています。
無駄がなく線の細いサウンドはそのままですが内省的/耽美的な感じは全くなく、ピアノや管楽器の存在感が増すなどカナダディアン・ポストロックのニュアンスを強めに含んでいる印象も受けます。

分かりやすい緩急起伏はなく、一定のグルーヴ感でアルバムは展開していきます。

叙情的なピアノやエレクトリックギター、
波紋のように広がっていくベースライン、
控えめにビートを紡ぐドラムス、
物憂い感じはなく、有機的で優しいサウンドを構築しています。

過度に心象的なサウンドになることはなく、からっとして伸びやかな響きを絶えることなく繰り出しています。
安定感がある、と言い換えることができるかもしれません。


知性的で、牧歌的。
穏やかで、しとやか。
ノスタルジックで、オーガニック。

しっとりとしつつ、人間的な温度感と大地の匂いを感じさせつつも澄んだ響き。

何気ない日常のテーマソングのような、絶妙の距離感で綴られたアルバムと言えるでしょう。

主要参考サイト:Below the Seaのアルバムについて

http://www.wherearemyrecords.com/?lang=en&page=belowthesea002

https://www.discogs.com/ja/artist/166193-Below-The-Sea

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です