新書大賞にも選ばれた『バッタを倒しにアフリカへ』です。

アフリカに生息するサバクトビバッタの研究を専門とするポスドクの著者による渾身の一冊です。
サバクトビバッタは数年に一度大発生しては、アフリカの農作物を食い荒らしては大損害を与えています。
しかし、その研究の大半は研修室の中で飼育されているバッタを対象としたものばかり。現地にいるバッタを研究したものは非常に少なかったのです。
研究実績がなく安定した職を得ることが出来ていなかった前野ウルドさんは、自らの現状を打破するためのかすかな勝機を、そこに見出します。
一発逆転を狙って勢いだけでアフリカのモーリタニアに飛び込み、持ち前のタフさと賢さを武器に未来を切り開こうとした日々の記録です。
いやー、面白かったです。
本書の魅力は何と言っても前野ウルドさんの人間性でしょうね。
彼はできる男です。賢しいところもあり、ぐぐっと自分に利するように行動し、周りをうごかすことができます。
でも、妙なところで抜けているところがあって、それがモーリタニアの日本とは全然違う文化とぶつかると見事に落とし穴の中へ転げおt、ちょっと笑える失敗を引き起こしてしまいます。
それでも、何があってもめげずに立ち上がり、バッタや自然、己の信念(というか打算)のために知恵を巡らせ、予想外の発想で活路を見出す姿にはとにかく勇気づけられます。
バッタに食べられたいと言い出し、草と同じ緑色の服で全身を覆ってバッタの大群に突っこんだりしています。なるほどなかなかのぶっ飛んだ発想力です。ニコニコ動画界隈でも有名なのだとか。
バッタが好きじゃなくても本書は面白く読めますよ。
前向きで、頭が良くて、努力家で、だけどちょっと抜けたところもある底抜けに明るい若者の未来をかけた大冒険 in アフリカ。
元気になる一冊です。おすすめですよ。
それでは、また。
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