Bathsのアルバムについて。トリッキーによじれるビートと、エモーショナルな旋律

こんにちは。

Bathsはカリフォルニア州出身のビートメイカーWill Wiesenfeldによるステージネームです。

http://www.anticon.com/sites/default/files/imagecache/artist/Baths%20by%20Mario%20Luna%2004_web.jpg

ビートミュージック・エレクトロニカ・ヒップホップ・チルウェイブ辺りを行き来する、内省的なサウンドが印象的です。

Geotic・POST-FOETUSといった名義でも活動していることや、日本のアニメからもインスピレーションを受けていることなども特筆すべき点かもしれません。

2021年5月現在、Bathsは3枚のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを見ていきます。

Bathsのアルバム一覧について

これからリリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思ってBathsのアルバム相関図を作成してみました。

では、本題に入りましょう。

(1st)Cerulean

微睡むようなドリーミィさと心地よい爽快感を併せ持つ、空想世界的で清涼なビートが印象的です。

柔らかながらもスタッカートの効いたサウンドが織りなす、淡く滲んだノスタルジーが本作の魅力の根底を成しています。

複雑に切り刻まれたサンプリングコラージュ、
独特のタメがあり、トリッキーながらも暖かみのあるビート、
ピアノやシンセなどのメランコリックな響き、
ファルセットを多用する男性ボーカル、
実験的でありながらも優美なニュアンスを帯びており、物憂くも透明感に満ちたトラックが並んでいます。

ダウンテンポ的な心地よさやチルウェイブ的な幻想性を併せ持っているうえにビートミュージック的な音楽的探求心も感じさせ、そのうえ文学的なポップセンスを帯びています。


様々な音楽をスクリューして散りばめながら繊細な心象風景を描いているような、抽象的でパーソナルな雰囲気をまとっていることも魅力的な点です。

爽快感があるのにも関わらず繊細な「陰」も感じさせる、Bathsの魅力が詰まったビートミュージック/エレクトロニカなアルバムです。

(2nd)Obsidian

前作と比べ、内省的でダークな雰囲気をまとっているのが大きな変化と言えるでしょう。

複雑なタメと細やかなキメを持つサウンドは変わっていませんがやや抑制されており、物憂い美しさを帯びるようになっています。


トリッキーで捻りが効いたビート、
影を帯びたテクスチャーを生み出すサンプリングサウンド、
ピアノ、ギター、ストリングス等が奏でるメランコリックな美、
独特の高音を聴かせる男性ボーカル。
前作よりもやや直線的なサウンドになっており、それがナイーブな心象風景を分かりやすく伝えてくれます。

心地よくも甘美な現実逃避感はなく、透徹とした陰鬱さを鮮明に描いているのも素晴らしい点です。真っすぐなエモーショナルさを多彩な手法で描き出し、苦悩や悲しみを瑞々しく表現しています。

もちろん探求的実験精神は本作にも存在しており、アブストラクトでバリエーション豊かな先鋭性を瑞々しいダークさの内に潜ませています。

突飛な前作が韻文的とするならば、本作は散文的でより雄弁なパーソナル性を感じさせてくれます。
内省的な詩情に満ちた文学的ビートミュージック、とでも呼べば良いのでしょうか。


電子音響が語る深い懊悩に耳を傾けるような、不思議な体験が出来るアルバムです。

(3rd)Romaplasm

前作を覆っていた鬱蒼としたダークさが霧散し、真っすぐなポップネスを感じさせる作品に仕上がっています。

前作よりもさらにストレートなサウンドに近づいており、心躍るような小気味よさが何とも楽しいです。


軽やかな足取りを想起させるリズミカルなビート、
解放感を演出するサンプリングサウンド、
ピアノ、シンセ、バグパイプ、ストリングスなどの生楽器が綴る生き生きとした感性、
そして、メロディアスに跳ね回る男性ボーカル。
メランコリックで叙情的、ポップでキャッチー、さらには分かりやすくエモーショナルな響きを炸裂させることもあり、Bathsの作品の中でも窓口が大きいように感じます。

優美なテクスチャーも心地よく、多様な表現方法と相まって飽きの来ない構成になっています。

また、時折顔を見せるケルティックな響きが効果的な隠し味になっており、澄み渡る空のような抜けの良さも本作の重要な魅力を構成する一部と言えるでしょう。

直線的で分かりやすいサウンドが増えたことにより散文的だった前作よりもさらに雄弁になっており、活き活きとした友人の顔を見ているような感覚を与えてくれます。

文学的というニュアンスは薄まり、もっとシンプルな表現になっているように思います。
真っすぐで虚飾の無い感情をそのままパッケージングしたようなアルバムと言えるでしょう。

主要参考サイト:Bathsのアルバムについて

https://en.wikipedia.org/wiki/Baths_(musician)

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