Arooj Aftabのアルバムについて。パキスタンの気品が織りなす、たおやかな洗練

こんにちは。

Arooj Aftabはニューヨークを拠点に活動する、パキスタンの女性ボーカリスト/ミュージック・コンポーザーです。

公式Bandcampより

パキスタンの伝統音楽/ジャズ/フォークなどを、シンプルかつ穏やかに洗練させた作風が魅力的。
2022年にはグラミー賞を受賞しています。

2022年7月現在、Arooj Aftabは3作のスタジオアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを紹介しています。

Arooj Aftabのアルバム一覧

リリース順にアルバムを見ていきますが、文字だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

あくまで個人的なイメージです。御容赦ください。

(1st)Bird Under Water

どことなくオリエンタルな香りを帯びつつも、アコースティックで柔らかな作風が魅力的です。

神秘的で繊細、厳かだけど親しみやすい温もりもある、洗練されているけど素朴でもある。静謐なテクスチャーの奥底では、相反する数多の魅力が贅沢にブレンドされています。

少なめな音数で繊細な響きを織りなすギターやコントラバス、微細な響きを添えるドラムス、妖しさをゆったりと添えるシタール。その上で優しく広がる、Aroojの神秘的なボーカル。はっとするような気品です。

南アジア/中近東的なニュアンスは本作の重要な要素ですが、強調しすぎるのはオリエンタリズムかと思います(ドラムンベースなども登場しますし)。数多くの音楽的影響をアコースティックギターを主軸とした(中東的神秘を仄かに帯びつつも)たおやかで心地よいアンサンブルへと完成させています。

優美で、厳かで、だけど飾り気がない。そんな魅力を秘めたArooj Aftabの個性が最も素直に表れているアルバムです。

(2nd)Siren Islands

アナログシンセを使ったドローン/アンビエント、異色作です。

1stや3rdの作品とはかなり毛色が違いますが、こういう作風な好きな方には響く作品。優しくゆらめく温かなシンセの音色がゆったりと続き、抑揚を欠いたまま儚くドリーミィに続いています。ずっと浸ってみたいと思わせてしまうほどに。

本作は女性の地位向上をテーマとして、ギリシャ神話の妖精セイレーンから着想を得たそうです。セイレーンは古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』などに登場します。その美しい歌声は聴く者が我を忘れるほど蠱惑的で、海を往く船乗りを溺れさせたり船を沈めさせる存在でした。

男性の私としては「本作Siren Islandsに魅せられる」ことにどんな意味があるのか、色々と考えてしまいます。

(3rd)Vulture Prince

個人的には本作から聴いて欲しいです。

エレガントで、神秘的。シンプルな音数で、ゆったりとした気品を醸成しています。

ふわりと香る中東/南アジア的な妖しさ。漂うジャズの気配。のびやかなうねり。ドラムスの存在感がほぼ無くなり、繊細な音の響きや重なりがよりきめ細やかに感じられます。芳醇さは1stより増していますが、クドさはなくスッキリとしています。


Arooj Aftabの深みと厳かさを湛えたボーカル、ハープやギターが紡ぐアコースティックな気品と素朴さ、ウッディな味わいを醸し出すコントラバス、繊細な心の機微を描くストリングス。日常に潜む何気ない神秘性、といえばいいのでしょうか。厳かさもあるですが、肩肘張った感じはしません。自然体で傍にいてくれるような、そんなおおらかさを感じます。

中東の匂いはしますが「ワールドミュージック」などではなく、唯一無二の個性を秘めた確固たるポップミュージック。民族的とか西洋的とかそういう次元を飛び越えた、新しい時代の音楽の在り方。その端緒だと個人的に思っています。

グラミー賞最優秀グローバル・ミュージック・パフォーマンスを受賞したMohabbat収録作です。

主要参考サイト

https://aroojaftab.bandcamp.com/

https://en.wikipedia.org/wiki/Arooj_Aftab

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