パレスチナ発、Apo and the Apostlesというロックバンド について。中東のサタデーナイトを彩る、自然体のオリエンタル・メロディと柔和素朴なアップビート。



こんにちは。

Apo and the Apostlesはパレスティナのベツヘレムで2013年に結成されたロックバンドです。

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サーフミュージックの穏やかなサウンドを土台にしながらファンク的・中南米的なグルーヴや中近東のオリエンタルな旋律を自然に織り込み、素朴ながらも開放感に満ちた楽曲を奏でています。

それから、政治的・歴史的に複雑な地域出身であるにも関わらず政治的な主張ではなく、若い男性たちによる「去っていった最愛の人」への想いを歌い続けているのも特徴でしょう。

2021年1月現在、Apo & the Apostlesは3枚のフルアルバムをリリースしています。
本記事では、その全てを語ります。

Apo and the Apostlesのアルバムについて

アルバムをリリース順に見ていきますが言葉だけでは分かりにくいと思って、相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。

Apo and the Apostlesというバンドの背景

Apoの人間性・多様性

バンドのシンガー・リーダーApo Sahagianはエルサレム旧市街地のアルメニア人地区の出身です。

アルメニア人であり、
イスラエル人として身分証を持ち、
パレスティナに生まれ育ち、
アルメニア語、ヘブライ語、アラビア語、英語を流暢に喋ります。

彼を取り巻く複雑な文化や歴史が、Apo and the Apostlesが持つ自然体の多様性の根底を成しているのかもしれません。

バンドの結成

Apo & the Apostlesはラマッラーで開催されるフェスティバルに出演するためにバンドは結成されました。
その公演は反響を呼び、さらにベツヘレムなどでライブを行えることになります。

さらにはYoutubeにアップしたBaji Wenekはミリオン越えの再生回数を記録します。

結成から一年も経たないうちに人気バンドの仲間入りを果たしたのです。
その勢いはとどまることを知らず、ヨルダン、フランス、オランダといった海外でもライブを行うようになります。

また、自分たちの音楽をサタデーナイトにふさわしいと称しているのも彼等のサウンドを特徴づけているでしょう。

バンドを取り巻く困難な状況

その一方、イスラエル人としての身分証を持つApo以外はライブのためにイスラエルへと入るためにも厳しい認可を得る必要があり、そのせいでライブをキャンセルしなくてはならなくなることも多かったとインタビューで述べていました。

また、パレスティナ人オーディエンスの感情を考慮することも多いとのこと。
イスラエルでライブをするよりもヨーロッパでするほうが簡単であるとさえこぼしていました。

Apo and the Apostlesを取り巻く社会は、非常に複雑な状況にあるといえるでしょう。

世界のどこにだっている、等身大の若者

しかし、Apo and the Apostlesは「去っていった最愛の人」への想いを歌い、グラストンベリーの出演したいという夢を持つ、等身大の若者です。

多くの日本人には想像しにくい複雑な環境で育ちながら、
日本の音楽好きたちと同じような音楽を愛し奏でた彼等の、
普遍的な珠玉のポップミュージックを見ていきましょう。

(1st)Back to Sababa

Apo and the Apostlesのデビュー作となる本作は、最もダンサブルかつ情熱的な作品と言えるでしょう。

ミドルテンポの中東流オーガニック・グルーヴは唯一無二のオリジナリティでしょう。
それに高らかに響く素朴で切ないメロディの魅力は絶大です。

そして、何より気取っていないのが素敵です。
近所の気の良いお兄さんのような親しみやすさが文句なしに発揮されています。

素朴で真っすぐな男性ボーカル、
時に高らかに、時にオリエンタルに響き渡るエレクトリックギター、
レイドバックした音色をつま弾くアコースティックギター、
情熱的な色彩を力強く添えるホーン、
オリエンタルな色彩を漂わせるリズムセクション。
ファンク・ラテン・中東音楽などの彼等が愛する音楽へのリスペクトを感じさせつつ、上手にApo and the Apostles流の優しいダンスグルーヴへと昇華しています。

アップビートな踊れる曲だけでなくソフトなアコースティックサウンドも魅力的です。
繊細で、素朴で、感傷的で。
深い悲しみを胸の奥に抱えながら、それをおくびに出さずに優しく微笑むような、健気さがあります。

アップビートな曲にもソフトな曲にも、繊細ながらもスターダムを歩むロックバンドのようなキャッチーなメロディがあります。

どこの国でも人気を博することができそうな普遍的な存在でありながら、等身大の親しみやすさがある。
本作Back to Sababaは、そんな彼等の魅力の原点が詰まっているアルバムです。

(2nd)Saving a Dead Sea

様々な音楽からの影響を感じさせた前作をシェイブアップし、素朴な優しさを漂わせるアップビートミュージックとしての側面が強調しているアルバムです。

サーフミュージックに影響を受けたパワーポップ、とも言えるかもしれません。
垢抜けなくて切ないメロディに、優しくてシンプルなバンドサウンド。
危ない足取りながらもダンサブルで、素朴でピュアなロックミュージックが奏でられています。

素朴な男性ボーカルが歌い上げるピュアなメロディ、
優しく心に染みるエレクトリックギター、
オーガニックに爪弾かれるアコースティックギター、
高らかにエモーショナルに吹き上げられるホーン、
シンプルで純朴なビートを刻むリズムセクション、
純朴で繊細なアップビートミュージックというApo and the Apostlesのスタイルが完成しているのを感じ取るこができます。

また、素朴な優しさはそのままに時に4つ打ちのビートが顔を出すこともあり、聴き手を盛り上げるような仕込みもなされています。
ライブ会場での経験を踏まているのでしょう、全体的にキャッチーさとダンサブルさが増しています。

そして、やはり全編を貫くポップなメロディがたまりません。メジャーな世界でも十分にやっていけるセンスを感じさせます。

解放感と切なさが入り混じっては色彩を変えながら続いていく様は、まさしく彼等が自称するサタデーナイトの音楽にふさわしいといえます。
一時の高揚感とそこに影のように付きまとう儚さを見事に再現しています。

ちっぽけな日常を戦う者たちへの祝杯のような、等身大で深い優しさに満ちたアルバムです。

(3rd)Rawquha

オーガニックなキャッチーさはそのままに、再び中東音楽からの影響を匂わせるようになった本作Rwaquhaです。

中東的旋律が散りばめられているものの、軽やかな開放感に満ちた楽曲が多いのもが印象的です。

ただし、今までにない力強いアグレッシブさを感じさせる楽曲があるのも本作の特徴でしょう。
良い意味でバランス感覚が崩れかかっている、危うい魅力が本作にはあると言えます。

素朴な魅力はそのままに成熟した色合いを感じさせるボーカル、
ポップなフレーズと中東的な旋律を自在に使いこなすエレクトリックギター、
タイトさと力強さを増したリズムセクション、
軽やかな解放感を湛えた楽曲もあれば、ロックバンド的なダイナミズムを突き刺す楽曲もあり。
求心力の高いメロディにも繊細さだけでなく逞しさを感じます。


また、アコースティックでソフトな楽曲もやはり魅力的です。
繊細で、チルで、中東的な哀愁があって。
エモーショナルであり、そしてやはり今までにない力強さを感じます。
酸いも甘いも噛分けた苦み走った雰囲気を仄かに漂わせているのが、本作の独特の味わいになっています。

ただ、やはりアルバム全体を覆う切ない躍動感が一番のセールスポイントでしょうでしょう。
ピュアな面影を残しつつ(ここが重要です!)、大人っぽくもなり、素朴な優しさを残しつつ、今までにない影を漂わせ、そういうのをひっくるめてゆるーく踊れる感じ。
絶妙至極です。

洗練した中東の旋律と成熟した精神の響きを感じさせる、オーガニックで精悍なアルバムです。

パレスチナ発、Apo and the Apostlesというロックバンド について。:主要参考サイト

https://www.greenbelt.org.uk/artists/apo-the-apostles/

https://timeout.co.il/apo-and-the-apostles/

https://www.timesofisrael.com/the-bethlehem-band-that-made-party-rock-a-personal-anthem/

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