American Footballというbandについて エモ・ポストロックの奥底にあるもの

こんにちは。

American Footballはイリノリ州出身のエモバンドです。
キンセラ兄弟達によるエモ黎明期の伝説的バンド Cap’n Jazzでドラムスを担当していたMike Kinsellaがフロントマンになって結成されました。

彼等の特徴を簡潔にまとめるなら、穏やかなエモということになるでしょう。
ゆるやかに奏でられるギター。
しっとりとしたリズム隊。
優しく美しいメロディ。

サウンドの奥底で燃え上がる瑞々しい焦燥も確かに感じられますが、それは表面に噴出することはありません。
時折垣間見えるポストロック的な実験性さえ優しく響きます。

つまり、エモの大きな特徴の一つである性急さがないのです。
どちらかというと、Mike KinsellaのソロプロジェクトOwenにつながるような朴訥さが印象的です。

1999年にアルバムを一枚リリースして解散してしまった彼等ですが、2014年に再結成をし、その後2枚のアルバムを世に放っています。

そんな彼等のアルバムの特徴をまとめてみました。
ただ、文字だけでは分かりにくいので各アルバムの差を円グラフにしてみました。
あくまでも個人的な印象ですが…。

American Footballのアルバムについて。至上のたおやかなエモ

American Football(LP1)

1999年の1st albumです。
若々しいキラキラ感と燃えるような焦燥感は、このアルバムが最も際立っています。

ゆっくり美しく絡み合うギターアルペジオ。
寄り添うように支えるベースラインとドラムス。
トランペットのあたたかな音色。
青臭い歌詞をささやく、優しいメロディ。
そして、そんな穏やかなサウンドの奥で熾火にそっと燃え続ける苦悩。

作品全体を覆う粗削りな雰囲気は、今まさに原石から磨き上げられている紫水晶を思わせる美しさです。
何かになろうともがくエネルギーは、未完成だからこそ得られるものでしょう。


未完成であることを含め、完成されています。
焦燥感と透明感を高い水準で掛け合わせた傑作です。

American Football(LP2)

2016年にリリースされた再結成後の第一作で2nd albumです。
大人らしい落ち着いた作風が特徴でしょう。

前作のようなキラキラというよりも、秋の木漏れ日を想起させるような穏やかさが強く前面に出ています。
その代わり、若々しい不安定さは影をひそめています。

ボーカルが全面に出てくるようになったこともあり、Mike KinsellaのソロプロジェクトOwenを思わせる雰囲気でもあります。

基本的な音像に大きな変化はありません。歌詞も相変わらず後ろ向きです。
しかし、若々しいバンド特有のサウンドの奥底にある不協和音は感じられせん。

再結成後の本作にも17年前の前作との間に連続性はありますが、その色彩は大きく変わっています。
前作のような焦燥感というよりも諦観がベースになっている一枚なのかもしれません。

American Football(LP3)

再結成後の第二作にして3rd albumです。2019年リリースです。
彼等の武器である美しさに磨きをかけた一枚です。

前作の円熟はそのまま、解放感と透明感を増しています。
ストリングス、ヴィブラフォンとフルート、さらには女性ボーカルなどのサウンドのバリエーションを増加させています。
しかし、ベースになるのは完成された美しいギターサウンドで、American Footballとして磨き上げられた盤石の魅力はゆるぎなく健在です。

また、ポストロック的シカゴ音響派的な音響の追及も感じられるのも特徴です。リズムセクションの上で揺曳する美しくも不思議な音色のハーモニーは、魅力的なアクセントになっています。

本作は、最初期のエモ的なサウンドを発展させ、よりメロディアスで美麗なサウンドへと昇華させたアルバムです。
根底にあるのは諦観といったエモ的なメンタリティやサウンドかもしれません。
しかし、それを彩るのは過去作にはない開かれた空気感に変わっています。


大人びているけど繊細で、後ろ向きだけど希望が見える。
そんな不思議な色彩の光を放つ一枚です。

まとめ American Footballというbandの魅力

American Footballのアルバムはリリース順に少しずつ大人になっていきます。
そんな経過をたどるのも楽しいです。

それに僕は単純に彼等の作る繊細な音楽が大好きです。
憂いとやるせなさを、ここまで美しい音楽にすることができるなんて。
感嘆です。

フジロック、行けるかな…。


それでは、また。

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