African Piano / Dollar Brand 雄大でオーガニックなアフリカン・ジャズピアノ

Dollar Brandは南アフリカ共和国出身のジャズ・ピアニストだ。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/15/Abdullah_Ibrahim_06N4688.jpg

Abdullah Ibrahimと名前を変えてからのキャリアの方が長く、そちらの印象の方が強い人も多いかもしれない。

南アフリカで生み出されたジャズ《ケープジャズ》の中でも領袖的な立ち位置にいるらしい。
つまり、その存在感は比類ないってことだろう。


今回取り上げるのは、Dollar Brand諸作の中でも名盤として名高いAfrican Pianoだ。

African Pianoの魅力:Dollar Brandのルーツとアフリカの大地

本作African Pianoは1969年にコペンハーゲンで行われたソロライブを録音したものだ。

当然、レコードの溝に刻み込まれているのはほぼDollar Brandのピアノだけ。
その魅力を存分に楽しめる作品になっている。

雄大でオーガニックなピアノの響きは、Dollar Brandが生まれ育ったアフリカの大地を想起させる。
それもアメリカ生まれのジャズ・ミュージシャンたちが創り出す「アフリカ回帰」的なアフリカではなく、実際にアフリカの大地を知っている人間による自然体のアフリカだ。


左手は同じ旋律を繰り返し、右手は自由奔放に動き回り、しなやかなピアノの響きを紡ぐ。

ジャズ的なエネルギーや洒脱さもまた本作の奥底で対流している。
そこにアフリカ的な霊性/感性が色濃く加わり、濃厚にブレンドされている。


セロニアス・モンクあたりの影響を受けているようだが「本物の」アフリカの大地を感じさせるムードは、本作African Pianoに中々他ではお目にかかれないオリジナリティを与えている。

収録曲は途切れることなくシームレスに繋がっていき、一体感のある雰囲気を醸成している。
絶えることのない雄大なグルーヴからはサバンナのような浪漫を感じさせる。しかし、突飛な遊び心が顔を出すこともあり、一筋縄では行かない魅力を感じさせる。

自然体で、メロウで、有機的。
人間の心や身体に寄り添うような伸びやかさがある、と言えばいいのだろうか。

もちろんジャズ的な探求心もあるのだけれど、本作の魅力は等身大でオーガニックなグルーヴにはあると言えるだろう。


ジャズに対して「お堅い」というイメージを抱いている人は、本作の雰囲気は意表を突かれるかもしれない。
広大で、ありのままで、スピリチュアルなニュアンスも帯びて。
その深い奥行きからは、アフリカ的霊性とジャズ的エネルギーの対流が混ざり合いながら立ち昇っている。


個人的には思い入れが深く、生涯大事に聴いていきたい作品の一つでもある。

主要参考サイト:African Piano / Dollar Brand

https://en.wikipedia.org/wiki/Abdullah_Ibrahim

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