65daysofstaticの全アルバムについて。Mogwai+Aphex Twin? そんな肩書ぶっちぎるくらいの勢いでシーンを切り裂く高エネルギー反応体バンド ~超おすすめ!~

こんにちは。


65daysofstaticはUKシェフィールド出身の4人組ロックバンドです。

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ジャンルとしてはインストゥルメンタルのポストロックになるでしょう。

Mogwai Meets Aphex Twinとも評された、ピアノ、ブレイクビーツ、轟音ギターを組み合わせた凄まじくエネルギッシュな楽曲は大きな反響を呼び起こしました。

凶悪な『静』と『動』技法を使いこなす、ポストロック・バンドと言えます。
今回はそんな彼等の全アルバムについて語ります。

また、言葉だけでは分かりにくいと思うのでアルバム相関図を作ってみました。

いかがでしょうか。

では、語ります。

65daysofstatic全アルバム語り Mogwai+Aphex Twinじゃ単純すぎる おすすめしたいアルバムがたくさん!

The Fall of Math

記念すべき、彼等のデビューアルバムです。

薄暗いSFのような世界観を想起させるダークな感情が終始渦巻いています。
彼等の看板となるMogwai+Aphex Twin的なサウンドは、本作が最も高い完成度を誇っています。

ピアノ、シンセ、打ち込み、ボイス・サンプリングを多用し、緊迫感と焦燥感が漂う『静』のパートも聴きごたえがあります。

しかし、『動』のパートこそ本作の真骨頂です。
タガが外れたような乱打されるビートと、生ドラムスが混ざり合って生み出し混沌凄絶な煮えたぎるようなリズム。
そこへ全力で叩き込まれる強烈な轟音ギターがうなりを上げます。
そのぶつかり合いは壮絶です。
互いに咆哮し合い、取っ組み合いながら、まるで竜巻のように聴く者を引き込み凄まじいエネルギーで巻き上げていきます。

とにかく『動』の時の爆発力は、あまりにも凄まじいものがあります。
その原動力になっているのは、彼等の楽曲には若々しく強烈な苦悩が満ちていることでしょう。

しかし、直接的に炸裂させるのではないのが鍵です。
エレクトロニクスでSF感を、
バンドサウンドで初期衝動を、
彼等の苦悩が退廃的な空気を、
それらを粘土みたいに力任せに混ぜ合わせ、崩壊寸前の感情塊のような楽曲を連ねているのです。
そして、出来上がったのは苦悩の衝動に満ち満ちた荒涼たる未来都市のような音風景です。

燃え上がり、沈み込み、ビルは崩れ、乾いた風はただ吹き抜けるだけ。

どこにぶつければ良いのか分からない若き苦悩をどうにかこうにか音楽へと昇華しているような危うさは、あまりにも魅力的です。

楽曲から噴き出すエネルギー総量は、本作が絶対的に最強でしょう。

One Time For All Time

間髪入れずに送り出された2ndアルバムです。
勢いに乗るバンドのエネルギーが強く現れています。

前作は、行き場のない苦悩が滞留し結晶化した異世界のようなアルバムでした。
一方、本作は単純に苦悩の総量という側面だけ見ると前作よりはやや落ち着いています。
しかし、決して丸くなった、というわけではありません。
スイッチが切れて、幻の世界がぱちりと消えてしまったあとを描いたようなアルバムです。


本作は、前作に比べて暗度と鋭さが凄まじく増大しています。
作品全体の切れ味が増し、瞬間最大風速も凶悪になっています。
世界を真っ黒に塗りつぶすような叙情的絶望感と、遥か彼方へ辿り着こうとする焼け付く疾走感が終始豪風のように唸りを挙げています。


『静』のパート、シンプルでエッジが効いた暗黒感が見事です。
同じフレーズを延々繰り返すピアノとシンセ、シンプルなストロークを淡々と刻むギター。
ただ、エレクトロニクスの影がやや存在感を潜めており、聴き手に映像を喚起するようなサウンドではありません。
その代わり、重苦しく真っ黒い霧が遠くからやってきているような苦悩的感覚を聴き手に与えます。

『動』のパート、暗闇の中を叫びながら駆け抜けるような疾走感が圧倒的です
時に狂気のように乱打される打ち込みビートとドラムス、
暗黒感を壮大に演出するシンセ、
疾走感を切り裂くように食らいつきながら咆哮のような轟音を炸裂させるギター。
吠え猛り、駆け抜ける衝撃波にはただただ心を奪われます。

前作では行き場のなかったエネルギーが、本作は目指すべき場所に向かってつき進んでいます。
真っ黒い絶望感を、その身にまといながら。


絶望にほとんど呑まれながらも突き進むエネルギーが本作の特徴でしょう。

The Destruction Of Small Ideas

本作は3rd albumであり、65daysofstaticの第一部を締めくくるフィナーレのようなアルバムです。

疾走感ではなく、真っ黒い重苦しさが絶えず立ち込めています。
前作が鋭さなら、本作は圧の強さが売りでしょう。


『静』のパートはとにかく物憂げで静謐です。
シンセとギターがそっとつま弾かれ、リズム隊と一緒に哀しげに踊ります。
俯きながらぼそぼそと囁かれた言葉のような雰囲気が印象的です。

一方、『動』のパーツは内に籠るような初期衝動がとにかく鮮烈です。
エレクトロニクス的なパーツはさらに後ろへと下がり、バンドサウンドが印象的に前に出ています。
乱打されるドラムスは変わりませんが、打ち込みビートの推進力を借りたぶっ壊れたエネルギーというよりも、地を踏み締めやりきれない感情を叩きつけているような印象を受けます。
歪ませたギターもシンプルです。絶望度高めのストロークを叩きつけ、むせかえるように息苦しい圧力を創りだします。

1stのやり場のない衝動が、2ndでは重苦しい絶望を振り切るような疾走感へと変わり、本作3rdではどこにもたどり着けずに倒れてしまった。
そんな行きつく果てには何もなかった残酷さが漂うアルバムです。


真っ黒い絶望の中に取りこされてしまった、最も暗いアルバムです。

We Were Exploding Anyway

非常に重要な転換点となった4th albumです。

言及すべきは何と言っても荒廃的ダンスミュージックへと方向転換でしょう。
エレクトロニクス重視へと大きく舵を切り、切れ味鋭い乱打ドラミングから反復型インダストリアル・4つ打ちビートへとモデルチェンジ。
その上に衝動的轟音ギター、ベース、シンセが力の限り叩きつけられます。

『静』『動』のような二項対立ではなく、ダンサブルなビートのうえに乗せるエネルギー熱量で緩急を使い分けています。
吐息のようなビートだけが奏でられる瞬間もあれば、火花が散るような迫力で様々なサウンドが暴れまわることもあります。
そのサウンドはダンス的という通底する要素を持ちつつ、その上で変幻自在に変化していきます。

そして、編み上げられるイメージは1stのようなSF的世界観です。
ただし、1stの壮絶な初期衝動の結晶としての世界ではなく、本作はより完成されたディストピア・サウンド・スケープを構築しています。

完璧に創り上げられたディストピアに火花が散るような高熱量な衝動を流し込み、血肉脇踊るような咆哮とともに突き進む大傑作です。

Wild Light

前作をさらに深化させたアルバムであると同時に、さらなる転換作でもあります。

疾走感・ダンス感ではなく、サウンドのレイヤーを幾重にも積み重ねて楽曲を創り上げているのが特徴です。
エレクトロニクスを多用しつつも壮大さを強く打ち出しており、広大なSF世界を高い視点から見ろしているような気分にさせてくれます。

生ドラムスや打ち込み・シーケンサーを組み合わせた複雑精緻なビートは時につつましく、時に強烈に打ち鳴らされます。
サイケで叙情的なシンセが織り成すサウンド・レイヤーとそこに包み込まれるようにして奏でられるギターは、不穏さを孕んだ優雅さが生み出します。

そして、本作も『静』『動』のスイッチというよりも、少しずつ積み上げるようにして辿り着く轟音へと辿り着きます。
そして、そのカタルシス的なサウンドからは、衝動よりも<楽曲という広大な絵画の一構成部品>のような計算された鳴らされ方を感じます。

本作には過去のアルバムのような今にも振り切れそうな初期衝動があるわけではありません。
もっと不穏で、もっと壮大で、もっと美しく、心の深く奥底で眠っているような心象的なイメージです。
苦悩や葛藤や絶望が濛々と湯気のように立ち昇っている、誰にも顧みられないような世界とも言えるでしょう。


エレクトロニクスやバンドサウンドといった多くの手札を巧みに複雑に組み合わせて描き出されたのは、遠い未来に詠われるディストピアの叙事詩といったところでしょうか。

No Man’s Sky : Music For An Infinite Universe

本作はプレイステーション4用ソフト No Man’s Skyのサウンドトラックとして制作されたアルバムです。

基本的には今までの65daysofstaticサウンドから大きく変化はしていません。
前作Wild Lightの延長線上にあるのは明確な複雑精緻に造られたアルバムです。
しかし、ゲームのサウンドトラックというだけのことはあり、

  • サウンドが喚起する映像が広大であること
  • 今までの作品のようなパーソナルな暗黒性は薄れている

という明確な個性があります。
結果として、今までにないポジティブな空気に満ちているアルバムになっています。

やや遅めなテンポ、
柔らかな揺蕩うシンセが澄んだ奥行きを生み出し、その上でビートを刻むエレクトロニカなグリッチ、
時折挟み込まれるフィードバックノイズが運ぶ脈打つようなエネルギー、
叙情的なクライマックスに向けて盛り上げていくベースライン、
一気に曲世界へと引きずり込むダイナミックに轟くギター、
軽やかとさえいえるようなクリアーな轟音がサウンドに虚を突かれます。
それに加えて、サウンドのレイヤーを積み上げる繊細さも素晴らしいものがあります。
また、アンビエントな楽曲も多く、全体的に儚い雰囲気が漂っているのも特徴です。


ディストピア的な不穏感や絶望感は弱まっています。
しかし、多様なサウンドのレイヤーを組み合わせてどこまでも精緻な世界を積み上げていく、というスタイルを極めたアルバムと言えるでしょう。

Replicr,2019

2019年にリリースされた最新アルバムです。



前作No Man’s Skyのサントラ型サウンドスケープ路線を推し進めつつ、もっと熱量高めで暗黒情景的なぐつぐつと不気味に沸騰するスタイルへと舵を切っています。

もはやバンド的サウンドへのこだわりはありません。
不気味に蠢くSE、
不穏なシンセ/エレクトロニクス、
深淵の奥底で小さく痙攣するようにのたうつビート、
全体定期にサウンドの音数が少ないこともあり、孤独な印象も感じさせます。
荒涼とした心象世界を想起させる、SF風味の暗黒アンビエントといえるでしょう。

ただし、時折メロディアスな旋律が浮かび上がり、カタルシスの波を引き起こすこともあります。

元来の65daysofstatic的な初期騒動や苦悩を取り除き、暗黒の風景だけを淡々と描いたような作品であり、音世界の隅々まで味わえる作品です。

余談

いわゆる「アルバム」のリリースはReplicr,2019が最後ですが、毎月作成される新曲をバンドキャンプを通して購入することが出来るというプロジェクトも行っているようです。

65daysofstatic全アルバム語り このバンドの魅力とは? おすすめポイントとは?

65daysofstaticの魅力、たくさんあると思います。
轟音とかバンドとブレイクビーツの融合とか、数えたらきりがありません。

ただ、彼等最大の魅力は圧倒的な青臭さとそこから溢れ出す完全に持て余している衝動だと思います。

上にあげたプロジェクトなんかも既存音楽シーンへの反発が大いに感じられますし、彼等のtwitterアカウントも反発精神の塊で面白いです

もしお時間があったら見てみるのも一興、かもしれません。





それでは。

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