こんにちは。
47Soulは2013年にヨルダンで結成されたパレスティナ人とヨルダン人によるダンスミュージック・バンドです。

ヒップホップやEDM・ダブステップ等のクラブミュージックを織り交ぜながらアラブの旋律を強く匂わせるサウンドは非常に個性的で、彼等が自らの音楽を定義づけたShamstepという言葉がそのまま新たなにジャンルになったほどです。
Maryam Salehと組んだりEl Far3i名義でも活動しているTareq Abu Kwaikが在籍しているのも見逃せません。
47Soulは2021年2月現在、2枚のフルアルバムをリリースしています。
本作ではその全てを見ていきます。
47Soulのアルバムについて。
これから各アルバムを見ていきますが、言葉だけでは分かりにくいと思って相関図を作成しました。

では、本題に入りましょう。
(1st)Balfron Promise
重たく、情熱的で、妖しさ満点。
魂を燃やして踊りたくなるような、白熱のダンス・サウンドが繰り広げられています。
力強い男性ボーカル/ラップ、
濃厚な中東の香りを運ぶシンセサイザー、
軽やかに跳ね回るエレクトリックギター、
ヘヴィでパーカッショナブルなビート。
決してハイテンポなわけではありませんがオリエンタルな旋律が次から次へと飛び交い続ける展開には、ついつい心を掻き立てられます。
絶妙に垢抜けない雰囲気をぷんぷんさせていますが、そんな隙も親しみやすい雰囲気を醸し出すのに一役買っています。
本作の個性の根幹を成す独特の旋律やリズム感はヨルダンやパレスティナなどに伝わる伝統音楽Mijwizの影響を受けているそうです。
そういった中東由来のオリジナリティを消さずに、世界の共通フォーマットである欧米のポップミュージックにはめ込んでいるのが本作の良いところでしょう。
必ずしも綺麗にはまっているわけではありませんが、そのいびつさが何物にも代えがたい魅力となっています。
Shamstepの始まりである粗削りなスタンダードを楽しめる、情熱的なオリエンタル・ダンス・ミュージックです。
(2nd)Semitics
妖しさと熱さはそのままに、前作よりも洗練されているアルバムです。
前作の47Soulらしさは損なわぬままに完成度は上がっています。
鋭くタイトになっている、とも言い換えられるかもしれません。
また、ヒップホップやEDM,ダブステップ以外にもレゲエなどの影響も強く感じられるようになり、サウンドの手数が豊富になっています。
野性的な匂いを漂わせる男性ボーカル、
中東的な旋律を情熱的ながらもクールに響かせるシンセ、
重たくもタイトで、パーカッシブなビート。
アラビアンな雰囲気を残しながらも煙たい迫力はさらにレベルアップ、スラム的で危うい魅力がぎゅっと詰め込まれています。
引き締まったリズム、本能に訴えかけてくるような旋律。
クールさを秘めながら、絶えず燃え上がる熱量。
情熱的なビートの繰り返されるループは中毒性のある陶酔感をもたらし、じわじわと虜にしていきます。
過度にアッパーな高揚感を爆発させることはありませんが、絶妙な温度加減の熱さが良い塩梅の心地よさをもたらしていいます。
共通フォーマットである欧米のポップミュージックを土壌として、中東的なオリジナリティを鮮やかに開花させているとも言えるかもしれません。
47Soul自身が生み出したshamstepというジャンルをさらに洗練させた、クオリティの高いアルバムです。
個人的には47Soulで最もお気に入りの作品です。
47Soulのアルバムについて:主要参考サイト
https://en.wikipedia.org/wiki/47Soul
https://www.theguardian.com/music/2017/dec/28/from-shamstep-to-drill-the-top-40-newcomers-of-2018
https://www.npr.org/2019/08/26/753733845/47soul-tiny-desk-concert
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